毎年のように新しいトレンドが生まれては消えていく中で、いつの季節にも変わらず心地よく寄り添ってくれる服がある。それが、永く愛せる“定番ニット”です。
大人の女性にとって、ファッションは華やかさよりも「信頼できる一枚」を選ぶことに意味がある。袖を通すたびに心が落ち着き、鏡に映る自分をやさしく包み込んでくれる――そんな存在こそ、真の定番と呼ぶにふさわしいものです。
永く愛せるニットを選ぶポイントは、まず素材の質。季節をまたいでも形が崩れにくく、肌ざわりが滑らかなウールやカシミヤ、上質なコットンブレンドは、着るたびに体に馴染み、美しさを保ちます。次に大切なのはシルエット。肩の位置や袖の太さ、丈のバランスが整ったニットは、どんなボトムスとも相性がよく、流行に左右されません。
たとえば、程よく身体に沿うリブ編みのクルーネックや、少しゆとりのあるハイネックなど、シンプルな形ほど長く活躍します。カラーも同様に、ベージュ、グレー、ネイビー、オフホワイトなどのベーシックトーンを選ぶと、どんな季節にも合わせやすく飽きがきません。デザイン性のあるアイテムを足すよりも、上質なベーシックを自分らしく着こなすことが、大人の洗練です。大切に扱うことで、ニットは年月とともに風合いを増し、着る人の人生を映すように育っていく。
流行よりも自分の感性を信じて選んだ一枚が、やがて“思い出の服”になる。永く愛せる定番ニットとは、ただ長持ちするだけではなく、日々の暮らしや気持ちまでも穏やかにしてくれる特別な存在なのです。